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マーケティングの本当に重要なポイントを押さえてください。

マーケティング入門講座、第8回。ナビゲーターのさいとうです。
マーケティング専門家のかねだです。さいとうさん、本日もよろしくお願いします。


よろしくお願いします!かねださん、えーっと、前回は「成功し続ける経営者は変化を学び続ける」というお話でした。
ええ、ええ。


で、その変化の目的の一つが、お客様にずっと「ファン」でいてもらうことだと思うんですが…。
ええ、まさにその通りです。


はい。
どんなビジネスでも、あの、熱心なファンの存在が事業の土台であり、成長のエンジンになりますからね。


はい。でも、その「ファン」って、一体どうすれば…作れるんでしょう?
うんうん。


良い商品を作って、良いサービスを提供していれば、いつか自然に…とは、なかなかいかないですよねぇ。
非常に鋭い視点です。実は、今回のテーマはまさにそこで、


はい。
元になった動画では「これが依存の正体です」っていう、ちょっとドキッとするタイトルがつけられていました。


へえー!
犯罪心理学の知見を応用した、最先端のニューロマーケティングの話なんです。


依存!?それに、犯罪心理学…?
はい。


ファン作りとは、なんだか…こう…結びつかない言葉が出てきましたね…。
そこが今日の核心なんです。一見、全く違うように見えますが、


ええ。
脳科学の世界では、人が何かの「ファン」になる心のプロセスと、ある種の「依存」状態に陥るプロセスは、驚くほど似ているんですよ。


脳の、化学反応ということですか?
ええ。今回はそのメカニズムを、


はい。
鍵を握る3つの脳内物質から解き明かしていきます。


おお。
それが「ドーパミン」「セロトニン」「ノルアドレナリン」です。


なるほど。聞いたことはありますが、それぞれどういう役割なんでしょう?
まず「ドーパミン」は「快楽」を司ります。


快楽。
これが、人が「またやりたい!」「また体験したい!」と思う、まあ原動力ですね。


うんうん。
マーケティングでこれを引き出す最も強力な鍵が、「ランダム報酬」です。


ランダム報酬…というと?
はい。毎月決まった額がもらえる固定給よりも、


ええ。
何が当たるか分からない「ガチャ」とか「くじ引き」に人が夢中になるのと同じ原理です。


あー、はいはい。
いつ、どんな良いことがあるか分からないっていう「予測できない期待感」が、ドーパミンを最も効果的に分泌させるんです。


ああ!昔あったアイスの当たり棒みたいなものですね!
そうです、そうです。


「当たるかな?」ってドキドキしながら食べる、あの感じ。
まさに。次は「セロトニン」、これは「幸福」の物質です。


幸福。
で、面白いことに、これは「選択肢の多さ」によってもたらされます。


選択肢が多いと、幸福になるんですか?
うん。


選びきれなくて、逆に困ってしまいそうな気もしますけど…。
いいポイントですね。もちろん、決断の段階では選択肢が多すぎると迷います。


はい。
しかし、その前段階で、人は多くの選択肢があるという状況自体に「この中には自分に合うものがきっとあるはずだ」という、安心感やコントロール感、つまり「幸福感」を感じるんです。


なるほど!「選べる自由」がある、という感覚が大事なんですね。
そして最後が「ノルアドレナリン」。これは「刺激」です。


刺激!
限定セールで「残りわずか!」って言われると、心臓が少しドキドキしますよね。


しますね!
あの軽い緊張感や興奮が、人の「今、行動しなきゃ!」という気持ちを後押しするんです。


「快楽」「幸福」「刺激」…。
はい。


この3つをうまく設計すれば、お客様をファンにできる、ということですか?
理論上はそうなります。


ほう。
しかし、元動画では、これらを踏まえた上で、さらに重要で、そして衝撃的な事実が明かされるんです。


衝撃的な事実…なんですか、それは?
はい。かつてモトローラという会社が、


モトローラ。
製品の品質を極限まで高める「シックスシグマ」という品質管理手法を導入しました。


はい。
これは、製品100万個あたりの欠陥品をわずか3、4個に抑えるっていう、まさに完璧を目指す取り組みです。


すごいですね!
ええ。


それだけ完璧な製品なら、当然ファンは熱狂したんじゃ…?
と、思いますよね。


はい。
しかし、研究の結果わかったのは、「品質が完璧だからといって、人はファンにはならない」という、驚きの結論だったんです。


ええ!?どうしてですか?
うん。


品質は、お客様にとって一番大事なことじゃないんですか?
良い品質っていうのは、お客様にとって「期待」の範囲内なんです。


期待の範囲内。
期待通りのものが提供されても、それはもう「当たり前」。


ああ…。
心に強い印象は残りません。感動も、記憶も生まれないんです。


じゃあ…一体、何がファンを作るというんでしょうか?
それが、「エピソード記憶」です。


エピソード記憶。
もっと分かりやすく言うと、予期せぬ、ほんのちょっとした「嬉しい驚き」なんですよ。


嬉しい驚き…。
ええ。例えば、出張先のホテルのベッドに、手書きのウェルカムメッセージが置いてあったり。


ああ、いいですね。
病院で、お医者さんが診察の後に3分だけ、にこやかに世間話をしてくれたとか。


うんうん。
誰もが当たり前だと思っているサービスの流れの中に、ほんの少しだけ、マニュアルにはない温かみや工夫を加える。


はい。
その「え、こんなことまでしてくれるの?」っていう小さな感動が、忘れられない記憶となって、その人をファンに変えるんです。


なるほど…。
うん。


完璧な製品やサービスを追求するだけじゃなくて、その周辺にある「ちょっとしたサプライズ」こそが、人の心を掴むんですね。
その通りです。そして重要なのは、


はい。
そのサプライズは高価なものである必要は全くない、ということです。


ほう。
むしろ、お金をかけない小さなアイデアや、一見無駄に見えるような温かいコミュニケーションこそが、現代において最も強力なブランディングになるのかもしれません。


かねださん、本日もありがとうございました。とても奥深いお話でした。
ありがとうございました。


さて、リスナーの皆さんにも、ここで一つ、考えていただきたい質問があります。
「あなたのビジネスや仕事において、お客様が『当たり前』だと期待していることは何でしょうか?


うん。
そして、その当たり前をほんの少しだけ超える、お金をかけずにできる『嬉しい驚き』とは、どんなことだと思いますか?


はい。
ぜひ、考えてみてください。
